戦後まだ間も無く、
誰もが貧しい暮らしを強いられていたある冬の夜。
「ねぇねぇ、おばあちゃん。
今日はどんなお話を聞かせてくれるの?」
幼い女の子がベッドの中から老婆をに話しかけました。
「そうだねぇ。今日は妖精の話にしようかねぇ。」
「えぇーっ!妖精の話はもう何回も聞いたよぉ。」
女の子は即座に答えました。
「おや、本当かい?
それなら別の妖精の話にしようかねぇ。」
「それって私が聞いたことないお話?」
「あぁ、そうだよ。それならいいだろう?」
「うんっ!ありがとおばあちゃん!」
女の子が返事をすると、
老婆はゆっくりと話し始めました。
「とても明るい満月の夜。
お月様がちょうど真上に浮かぶ頃に、
あるお屋敷の部屋で
一人の少女が目を覚ましました…………」
※この物語はフィクションです。実在の人物・団体等は関係ありません。