重苦しい雲に覆われる朧月の日。
今宵、私は、永遠の眠りに付く。
規則正しく刻む、私の針を逆らって止めてね。
冷たい風が頬をかすめるのを聞きながら。
用意されたキレイなドレスや、靴を脱ぎ捨てて
富も地位も何もかも捨て、
始まりのリンゴを一口かじれば、
終わりを告げる鐘が鳴る。
私は今、この汚れた夜空に真っ黒なツバサを
広げる。私の流れる時にピリオドを打つ、
はずだったんだ。
「は? 悲劇のヒロイン気取りかよ。」
「お前、俺と同じ瞳をしてる。…うぜぇ。」
「何をするのも面倒なんだよね。
今でさえ?お前と話してるのでも
面倒だと思ってるし?」
一人の少年との出会いに歯車が狂っていくー…。
「面倒って言われてショック受けてんの?
何だかんだ可愛いとこ、あるんじゃん。」
「ヤベ…油断した。お前には全然 余裕ねぇかモ。」
「俺には何されてもいいって言えよ。」
やくざだろうが、暴走族だろうが、
暴力団だろうが関係なし。
相手が誰だろうが売られた喧嘩は全て買う。
何百人ものの人を従えさせ、
狼の群れを率いるNo.1。
ある日を境に突然姿を消した、
錆びれた夜の街を見下す喧嘩好きの一匹狼。
篠崎 優璃哉 (しのざき ゆりや)
×
「は?低レベルが話しかけんな。」
「気取ってないんですケド?は?」
「んへ!? 何 言ってんだバカッ 」
「今すぐ私を抱きしめて‼
めちゃくちゃ愛してよっっ」
信じられるのは自分だけ。
家族も友達も何もかも捨てた結果
残ったのは空っぽな自分だけだった。
生きる意味を失い感情を失った操り人形。
藍川 癒愛 (あいかわ ゆあ)
最悪な出会いに運命が動き出す‼
一縷(いちる)の望みだった未来でさえ捨て、
眠ろうと羽根を広げたのに。
顔を上げれば広がる世界が。
途端に色を付け始めた。
ぼやける瞳の奥に揺らめいて見えたのは、
黒でもなく深い青を背にする
意地悪な太陽のようなキミでした。
繰り返され絡み合う運命を、
あなたは信じますかー…?
答えはYes か Noか。
全ては 自分次第。
「知ってるか?狼って生涯たった1匹の
メスと、共にするらしいぜ。
だから…お前が最初で最後の“つがい”だ。」
※ Tu es tout pour moi とは、
フランス語で“キミは俺の全てだ”と言う意味。