作品コメント
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- 紫宇
別視点のタイトルは罠!?
百合の花束を左手に抱えた男が一人。
伸びた右腕の先には拳銃。
本編の『おしゃべりな百合の花』はハードボイルドな作風。
簡潔明瞭でありながら、胸高鳴るスピーディーな展開に引き込まれること間違いなしです。
別視点で語られる2作品は、特に感情の動きが深く描かれております。
同じ月曜日の朝。
『無口な青い龍』では、乙女な美百合が龍一の為に席を準備し・・
ポジティブな美百合が、「龍一様素敵!」コールを代弁して下さいます。誠に有難うございます。「我侭」と言うよりは天真爛漫な美百合の可愛さに、同じ女子の私も惚れぼれとしてしまいました。
『我侭な白い百合』では、冷静沈着な龍一が迷惑そうに・・
戸惑いつつ美百合に惹かれて行く姿を見ることができます。決して「無口」ではない龍一の心の中。本編に比べてコミカルにさえ思える人間味溢れた龍一の一人称は溜息ものです。
感情豊かな2作品から見る一週間は、
作者様たちの思い入れの深さを伺い見ることができてとても贅沢です。
3つ窓並べて読むと非常に面白いので、(ちょっと大変ですが)お勧めです。 - Jade
何よりも濃厚な一週間
冷静沈着で、ポーカーフェイスを常に決
め込む龍一と、感情豊かで天真爛漫な美
百合。
物語はそんな美百合が一大決心をし、あ
るアクションを起こす前日から始まり、
一週間の出来事。
物語の本編である『おしゃべりな百合の
花』はニュートラル。手に汗握る展開
を、あまり深く掘り下げない程度で書か
れている。展開は面白く、目が離せな
い。だが、登場人物の心理描写は少々軽
めかもしれない。
と、感じたならば是非読んでみたいの
が、次の二作品。
美百合視点の『無口な青い龍』と、龍一
視点の『我侭な白い百合』。
本編では「暫く」の一言で片付けられて
いた瞬間も、両作ではその短い時間や彼
らの言動に隠された心理が丁寧に描かれ
ている。
違う人間だからこそ分からないことも伝
わらないこともある。気持ちがすれ違っ
てしまうのは当然なこと。
二つのストーリを読めば分かる、二人の
すれ違いの連続と同時に、互いを想う気
持ち。
三本とも読むことをオススメします。そ
れによって、彼らの一週間がどれだけ濃
厚なものだったかが分かるはず!