コツ、カツ、コツ、カツ… 革靴の底を鳴らしながら私は今日も学校へ行く。 時刻は7時45分。私の通う朝霧中学校は8時20分登校だ。ずいぶん余裕があると思うが、私は目的があってやっている。 辺りに人気はないのを確認して、私は目を閉じる。
「雪野」
涼やかな声が聞こえたのを確認して、私は目を開けた。 純白のストレートの髪の毛に、驚くほど澄んだ蒼い瞳。すっと鼻筋がとおった高い鼻に、柔らかく口角があがっている口元。すらっと身長は高い。
「雪野と会うのは久しぶりだね」
私は微笑む。すると彼は言った。
「ちがった、雪野じゃなくて兎月(うづき)か。」
私は笑う。
「そうだよ、この前言ったばっかじゃん。」
「ねぇ、兎月はさ。」
「ん?何?」
「俺がもしもう会えないっていったらどうする?」
次の瞬間、目を開けていられないほどの突風が吹いた。目を開けたら、そこは駅のホームだった。 あぁ、いつのまにかもうついていたんだと思い、ICカードを認識させ、地下鉄に急ぎのる。まぁ、それはそうか。だって君は白昼夢だから…(次に続く)