God-given gift【Ⅰ】陰りの昼下がり(草稿)

作者霜露呟諦

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 相対していた二つの力が去り、激動の時代は終わった。

 人々は在りし日への郷愁と、新時代への期待に抱かれたまま神に誓いを立てた。

 地上に残された神話を、神が与えたもうたものと共に永遠に語り継ぐと。


 それから時が流れ、世代が替わり、人々は昼下がりのまどろみにも似た心地よく緩やかな日々を生きている。

 しかし、時と共に人の思いもまた流れ、信仰による結束は綻びを見せ始めていた。


 人の強き信念の鼓動とて、心の深くで眠る魔物には甘美な囁きに過ぎない。

 その誘う声に眠れる魔物が目覚めれば、たちまち心の檻は破られ、魔物は世に解き放たれるだろう。


 この時代にもまた、激動を占わせる陰りが忍び寄ろうとしている。