ほら、ここに。【完】

作者ayaB

叶わぬ恋。でも愛しさは募るばかりで。無骨な優しさをくれる人が現れたり。報われなくとも、気持ちに嘘のつけない3人の高校生の今を、この時を、精一杯大切に生きる物語。

たとえば、昏く深い森の中に迷い込んでしまった少年がいるとしよう。彼は彷徨い歩き続け、小さな泉を見つけた。渇いた喉を潤すために泉を覗き込むと、水面に映った自分の姿に愕然とする。白く細い両腕で、ガタガタと震える自分の身体をかき抱く。するとそこへ、木々の隙間から一筋の光が彼に向けて射し込み、温かく包み込んだ。


ーーーー少年は戸惑いながら、諦めることもできず、唯一の光を信じ享受することで、辛うじて呼吸をしていた。


ーーーーきっとこれは、そんな物語。