素直になれない、
しっかりした文章構成に引き込まれ、最後まであっという間に読みきってしまいました。

王子様のようなルックスを持つ涼と、不良みたいな格好だけど本当は優しい健という贅沢な幼なじみ二人も持つ主人公佑希。ずっと変わらないと思っていた三人の関係が高校生になったことで、大きく変わってしまう――。

ありきたりになりがちのシチュエーションの中で個性のある物語になっていて、佑希ちゃんがどっちを選ぶのか、最後の最後まで予想が付きません。それから、王子様で紳士な涼くんと、ピンチのときは必ず助けてくれるヒーローな健くんのコンビもいいなって思えました。

健くんの佑希ちゃんへの想いが切なくて、だけど好きな子をいじめたくなっちゃうあの感じには素直に共感できます。涼くんの好きの子って誰なんだろうとずっと疑問に思っていたんですけど、最後に謎が解けてスッキリしました。

ただ……一つ、やっぱり告白の前にそういう行為をするのは、そいうのを軽んじているように見えかねません。物語なのでそこらへんしっかりしてほしかったです。

しかし全体的に、甘くて、切なくて、楽しんで読める素敵な小説でした。