NOEL

ピュアで、優しい、あの夏の出来事
「死者を生き返らせる」儀式、繰り返されるオワラナイ夏の日──

オカルト調の不思議な世界観に魅了され、どんなオワリを見せてくれるのだろうといつも楽しく読んでいました。

誰が死者か。儀式は終わるのか。ハラハラする中で浮上する魔女の存在。

蒼地さんの作品にいつも出てくる魔女が人間と取引をする理由が浮上したのも今作の魅力の一つでした。いつか魔女の物語も読めるのかな、なんて今後に期待です。

この物語は、虚構の世界での出来事で、でも心の内にきちんと記憶は残っていて。繰り返した夏の日を経て純粋な愛を手に入れた素敵な恋物語でした。

本当の死者が誰なのか、と言う部分では「ああ、やっぱり」と感じたのは確かですが、その後の展開では虚をつかれました。儀式に終止符を打ち戻った日常で「え、嘘でしょ、まさかの──!?」って。

若干描写が淡々としているかな、とも思いましたが、それが逆に、不安定な繰り返される世界を演出していて良かったです。

全体的に思う事は、個人的な気持ちなのですが蒼地さんの描く世界観がとても好きです。今後のご活躍も応援しています。