水晶の国の王女ジゼル。黒髪にみどりの瞳の「異質」な王女は、ある日突然、自分とおなじ黒髪の男性と出逢う―

むかし、むかしのおはなしです。



あるところに

ドラゴンの国と、水晶の国がありました。

ドラゴンの国には気高い騎士が、

水晶の国には慈悲深い姫がおりました。



ドラゴンの国と水晶の国は

おたがい、おたがいを必要とし、

ドラゴンの国は

水晶の国の水晶のちからと、

姫の祈りによって

ゆたかに、ゆたかにその国を繁栄させ、

また、水晶の国は

ドラゴンの国の騎士によって

かたく、かたくまもられていたのです。



ところが、戦によって

祈りのちからを

ある民族にとじこめられた水晶の国の姫は、

ドラゴンの国のために祈ることができなくなりました。



ドラゴンの国は、水晶のちからと

水晶の姫の祈りをうしない、

いつしかほろびていったのです



これはこの水晶の国につたわる、

おとぎばなしのひとつー