DAI
洗練された世界観
―ダークファンタジーな白馬の王子様とその素顔。
秘密を抱えた青年の、闘いと謎と愛をはらんだ異世界観ストーリーです。
この作品において一番に凄いと思った点は、間違いなく描写力です。
事細かに表現された情景や人物の様子のおかげ、ファンタジーものにありがちな「作者様にしか分からない世界で読み手が迷子」などという失態が全くなく、どっぷりとその世界に引き込んで下さります。
なにより、ファンタジーであるというのにリアルに描き上げた社会、人間模様は徹底的で、世界が本当に生きているように感じました。
一方、ストーリーにおいては、割りとシンプルで分かりやすいものだと思います。
しかし構成においては、盛り上がりが薄かったように思いますね……。
主人公が徐々に城の者たちに受け入れられる流れなどは、エピソードなしに説明文ではしょられ、また同じ表現が繰り返し出てきたため、変化してる感じがあまりしませんでした。大きな変化もないままクライマックスがきたような気も……。
ですが、本格的な文章力は間違いなく圧巻な作品です。