あやかし独歩

作者白妙菊

失ったものを取り戻すために…
あやかし世界に旅に出ます―
多くのあやかしたちと出会い,
多くのことを学び,
多くの幸せを得ていく
ほんわりとした物語です。

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叩きつけられた衝撃で息が止まる…



時が――体が――



壊れた時計のように秒針が行ったり来たり



痙攣している…



凍てつく寒さ以外に感じるものは…





あぁ――なんだったっけ‥

とても大切にしていた筈の言葉‥



心から――記憶から――


僕から――



こぼれ落ちていく…


僕から去った大切なものを…

彼奴は貪り食らう…

僕が失うほど…

彼奴は得る…



僅かに残った息を吐き出す…


眼前暗黒感に飲み込まれていく…





意識を失う瞬間に何か見た気がした…





もう感覚すらなく、

開けることが出来ない瞼を通して…



それは

只ひたすらに


美しく――温かく――


冷えきった体内を……

血管を……


一瞬で巡った




それはまるで……




弱者の崇拝物に溺れていく己の

微かな足掻きに思えた…





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