涼里
目を閉じても、なお。
闘病日記。
そんな一言で片付けるのは軽すぎる。
重い性(さが)を背負い、つらく暗い話だと思ったら大間違いだ。
思慮深く、語りも柔らかで、ユーモアというスパイスも効いている。
ただ「憐れんでください」とばかりに悲恋やら死を語るのではない。
極めて主観的でありながら自らを客観的に眺めている。
時には現実に目をそむけたくもなるだろう。
だけど目を閉じてもなお、彼の瞳はまぶたの向こうの光を、前方にあるはずの輝きを捉えている。
自分は不幸だと思う皆さん。
不幸なんてものは自分が不幸だと思うから不幸になるのです。
前向きにもう一度歩き出してみようと思わせてくれる、そんな作品。
受け入れて進む事から始まるのだと教えてくれる、そんな作品なんです。