悶太
それでも生き続ける
前作、『リアル・タイム』の続編であり、一応の完結編。
しかし、これで著者の『リアル・タイム』が終わっても、『リアルタイム』が終わった訳では無いのです。
僕らが常に生き続ける裏側には、誰かのリアルタイムがあります。
60数億の人間、数え切れない程存在する生き物達の『今、どうしているか』等、普段は気にも留めません。
蟻さんが巣に餌を運ぶ時、鳥が空を舞う時、ライオンが獲物を追いかけている時、人が苦しみ踞っている時…
目にした瞬間は『あ!』と思っても、まず今この瞬間は考えもしない筈です。
初めてお目にかかる人にとって、著者はその『気にも留めていない人達の中の一人』。
気が遠くなるような密度の濃い時間、長いのか短いのかも分からない時間の記録。
強制は致しません。
ただ一目でもいい。
彼が過ごした一日の一頁でもいい。
貴方の『時間』を著者の記した『時間』の為に割いてみて下さい。
きっと、その言葉は魔法のように…
貴方の中で溶ける筈です。