NAO

雨のち晴れ
ショパンの雨だれからはじまった物語は、したたり落ちる雨音とピアノの旋律が響く中、静かに進んでいきます。

雨の日の、雨宿り。
麗とたまの掛け合いは、窓ガラスをはねる雨音のようにテンポよく小気味よく、まるで気まぐれな雨脚そのものでした。

部屋で傍若無人に跳ねまわるたま。
そんなたまをやんわり制する麗。
静と動。
動と動。
静と静。
二人のやり取りが紡ぎ出す旋律は続いていきます。

気まぐれな春雨はどこまでも気まぐれなまま、そしていつしか、雨はやみます。

晴れたら遊園地に行こう

そして、晴れがやってくる。
けれど、また、遊園地にいる間に、気まぐれな天気は雨を降らすかもしれません。

そして、その時に、また、二人の掛け合いが始まるのでしょう。

テンポよい言葉使いの中に、想像力がこれでもかとかきたてられる素晴らしい作品でした。