繭結理央
「蜜」室芸
ふわふわとさらさら。
いやらしさと透明感。
いらいらときゅう。
約束の中止と黒魔術。
たま(玲)と麗。
異なる(ように見える)属性が窮屈することなく対称におさまる、この妙味。
ああ……痛快。
そしてなによりも痛快なのが、
あっという間に読了……とはいかず、本当に(後書を省き)16pだっただろうかと表紙を確認、本当に16pで、随分と永く作中に閉じこもってしまっていたものだ、という摩訶不思議。
これぞ密室芸。
時間の確かに流れる作品であれば、読者もまた作中の時間とともに読み進められる。延いては、読書に係る時間をも颯爽と感じられる。
反対に、確かな時間の流れない作品となると、読者は作品という密室の中に閉じこめられ、いつ終わるとも知れない(知りたくない)読書に没頭してしまう。
……代表格と出会ってしまった。
「たまには蜜」?
これだけ雨宿りを長引かせといて、意地悪なことをおっしゃる(笑)。
あっという間とはいかない没頭……これぞ密室芸の醍醐味と痛感いたしました。
ああ……痛快。