雨宮未来
短編映画のように、優しく静かに流れる時間。
ドキドキして読み進めるというよりは、
静かに胸に染みいる感じ。
青春なのに大げさがなくて、
恋愛なのに嘘がなくて、
小説中のお話と連動して、
まるで短編映画のように、淡々とストーリーが進んでいく。
それは最後の最後にもうまく繋がっていて、
実によくできたお話だと思った。
視点が変わるラストからは、
ノスタルジーで胸がいっぱいになり、
自然と目が離せなくなる。
新しい形のハッピーエンド、
切ないのに爽やかなのは、
作者の方の、細やかな感性ゆえだと思う。
読み終えて、自然と私の心にも風が吹き抜けていた。
また何度でも繰り返し読みたい、素敵に優しい物語。