好きなことは好き。
嫌いなことは嫌い。
そんな簡単で、当たり前のことが言えなくなったのはいつだろう。
好き、大好き、愛してる。
その言葉を口にするには、資格がいる。
そんなことを知ってしまったあたしは、
静かに口閉じる。
深い深い海に沈むみたいに、
言葉もなく、
涙もなく。
私は沈黙する。
私は、今日も現実に墜ちていく。
両親を亡くし、笑うことを忘れた少女に、生きることを教えたのは、亡くなった母の浮気相手だった。
身代りでもいい、歪んでいてもいい、ただ、私にとっては、あなたが全て。
あなたが、私の世界。