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記憶を失くした少女
劇団の団員であるティナには、同じ団員のルークにガラスの蔦で覆われた部屋で起こされるまでの記憶が無かった。ある日、ティナは街で"マホウツカイ"と名乗る少年に出逢い――。
しっかりとした文章と世界観で思わず一気に読んでしまいました。最初の方のティナとルークのやりとりはとても面白かったですし、中盤からティナが記憶を取り戻した辺りからは切なさもあって全体的にバランスの良い作品だと感じました。団長や団員、精霊たちもキャラがたっていて良かったと思います。個人的にはルークが一番好きです。
ただ、区切られてはいましたが三人称と一人称が混ざっていたので少し混乱してしまいました。個人的には三人称で統一した方がいいんじゃないかなと思いました。また、最初の団長とティナ、ルークの会話の時、彼らの容姿を説明していましたが、もう少し小出しにして説明してもいいのではないかなと。行動の後に容姿、という表現が続いて単調な印象を受けたので。
とても素敵なファンタジーでした。おすすめです。