恋愛要素一色ではなく、それぞれの人間模様が丁寧に描写されていて、文字だけなのに登場人物達の生命の躍動を感じました。展開のテンポも良く、Ⅰからあっという間に読んでしまいました。映画一本見終えたような気分です。
最終章ということもあり、涙腺崩壊です。薄々、命を散らすのはあの人だろうと予想はついていましたが、分かっていても涙が止まりませんでした。同時に、美しい散り際だったとも思います。臭いかもしれませんが、たった一人の愛しい者のために選んだ彼の最期の行動は間違いなく美しく尊いものでした。
あと、終盤の娘ちゃんからのメールで感慨深くなりました…。親子の繋がりが希薄な国で生まれ育っているけれど、近況をメールで送ってくる、父親にも溺愛されている様子から仲睦まじい家族になったのだな、と。

私もアリスに魅せられた人間の一人に仲間入りです。素敵な主人公でした。もちろん他の登場人物、そしてストーリーも。
素晴らしい作品をありがとうございました。