サッカーと音楽は神様の贈り物ですみたいなテーマの青春小説です。少しづつ更新しているので、もし良かったらつきあってみて下さい。

ワシらのような階層の人間にとって人生の楽しみは多くはない。 子供を育て日々の糧を得るだけで精一杯で、いつか運命の一撃が自分の身に振り下ろされるのではとビクビクしながら毎日を生きてるわけだから。 しかし、土曜日がくると…ワシらはすべてを忘れ贔屓(ひいき)チームの大きなフラッグを掲げて仲間達とスタジアムに向かう。 試合に勝てば帰り道はやはりフラッグのまわりに集まり勝利の歌を歌い麦酒を飲みながら騒ぐ。負けたら…次の週末を待てばいいさ。

日曜日の夕方には共同井戸の周りに近所の知り合いがギターや酒やささやかな料理を持って集まって来て、歌い踊る。身体に心地良い疲労が溜まるまで踊り続ける。音楽が終わり…地べたに座りこんで頭上を見上げると満天の星が瞬いて 『大丈夫。心配いらないよ』と言ってくれているような気分になる。 サッカーと音楽は神様が我々のようなわずかなもので生きる民に与えて下さった贈り物なんだな。