遠いセカイ【完】

作者春中 純

物語はまだ始まりじゃない。
遠い遠いセカイにいる彼があたしに気づくことはない。
キセキでもないかぎり。
でも、遠いセカイはたまにとっても近いセカイになる。

絶対、彼はあたしのことを知らない



あたしは、彼の嘘しか知らない


…――のかもしれない



でも、それでも、


きっとあたしは彼が



スキ。


なんだ




「君、俺のこと」


『………』


「好きなの?」


『っ。』



彼は、キラキラのセカイにいるから。


遠い遠いセカイにいるから。