心菜りず
弱さが愛しい、ソーダ水。
完結後すぐに読み終えたのですが、改めて最初から読みたいと思い、前作から今作までもう一度読み返してみました。
今作で改めて感じたことは、『ソーダ水。』は登場人物それぞれの感情がリアルだということ。だからこそ感情移入がしやすく、キャラ一人一人が愛おしく感じるということ。
前作では、両片思いのもどかしさと同時に感じる、一歩先の世界に踏み込めない弱さが。今作では、別れてしまったが好きという気持ちは変わることがない、両者のリアルで人間らしい弱さが。
大抵の物語のヒロインやヒーローは完璧に近い人間だが、この作品では人間のリアルな感情、それも負の気持ちを話の表に出したからこそ、こんなにも愛されるのかと思います。
そして、最後に≪ソーダ水。≫を持ってくるあたり、狡いなあと思ってしまうほどのニクい演出。
やっぱり希里ファンであると確信した、素敵なお話でした。
――追伸。完結おめでとうございます。