無意識に人から愛される君が
憎くて、憎くて、大嫌いでした。



 


 


 


部屋から香る、煙草の匂い


 


見上げた空はいつも粛々と泣いていた。


 


 


 


飛ぼうとしているのに、私の背中に飛べるだけの翼はなくて


 


片方の翼で必死にもがいて


 


 


苦しくて、息がしたくて、泣き叫ぶのに


 


その声は虚しく静寂の闇に飲み込まれた。


 


 


 


親からも愛されなかった私と


 


執拗なまでに愛された君


 


 


私たちは自分を偽り、モノクロの世界で生きてきたんだ。


 


 


 


菜緒


×


香一


 


 


 


 


じれったいほど見つめあって


 


辛いくらいキスをした。