町外れの小高い丘にある大きな屋敷、ベルダージュ荘。
そこで、優雅に暮らす男がひとりいた。彼の名は、崇剛すがた ラハイアット、三十二歳。神父であり、ヒーラーであり、聖霊師であり、メシア保有者である。様々な顔を持つ男。
聖霊師とは、悪霊を浄化する人のこと。
メシアとは、神が選びし者に与えた特殊能力のこと。
崇剛はそのうちの、千里眼――常人には決して見えないものを見聞きする力を持つ。例えば、幽霊とか天使とか、人の思ったこととか、過去とか。
そんな少しばかり非日常な毎日を送る崇剛の元には、心霊関係の事件がひっきりなしに舞い込んでくる。屋敷を個人的に訪れることもあれば、国家機関、治安省の心霊刑事、国立 彰彦、三十八歳から持ちかけらることもある。
千里眼はもちろんのこと、神からもうひとつ与えられた、全てを記憶する冷静な頭脳を使って、崇剛は事件を推理し、悪霊を探し出す。
そうして、最後は、神が崇剛に与えた聖なる短剣ダガーの鉄槌の前に、悪は消滅するのだ。
そんなある日――
十数年前に起きた、女が登山道から転落した死亡事故と関わることになるが、事件は思ってもみない結末へとたどり着く。
*この作品は、小説家になろう、エブリスタ、カクヨム、アルファポリスにも掲載しています。