過ぎ行く日々を横目に
ただ退屈な毎日を特に夢も目標もなく生きてきた。
気づけば二十歳も越えて
『社会不適合者』とかって呼ばれたりして。
別に同情されるような育ちでもない、
どちらかと言えば普通より少しだけ裕福のような
仲のいいごく一般的な家庭の長女。
それでもやっぱり
なんとなく生きていられればそれで良かった。
何かを成し遂げたいというか
夢を追いかけたいというか
そんな気持ちがなかった訳じゃない。
多分人並みにあったんだと思うけど
何を成し遂げたいのか
何を追いかければいいのか
そんなことを考えている内に
気づけば取り残されて。
周りは結婚しだしたり夢を追いかけたり叶えたり忙しそうで
さらにやる気を削がれた気がして
やっぱりぬるい毎日に浸かって
特に何をするでもなく毎日を生きた。
だからそんな私に
目をつける人もいない。
それなりに着飾りはするし愛想や媚は振りまいて損は無いから
金の有り余ったおっさんなんかは
暇潰しに私を使ったりはしたけれど。
なのにどうして
「おいで、椿」
彼はこんなにも私を愛でるのだろう。