・はじめに
私の両親は2人ともに障害者でした。父は右手首が
無く、両足が内側に曲がり母は目と耳が不自由で、
その2人に育てられました。
この話は現実に電車の中で会った彼女との空想の話
ですが、障害のある人でも普通の人と同じ幸せになれる
と思ってます。
健常者も障害者も同じと言う事を伝えたいです。
・第1章:出会い
その日は友達の遊び疲れて電車の中でお気に入りの
ドアそばの隅っこの席に座っていた。
ふと気がつくと松葉杖をついた女の子がドアのそばで
立っていた。足が悪いらしく怪我をしたとか言う雰囲気
ではなく、足が細く曲がっていた。良く見ると他にも
席が空いている。
座ればいいのに…
そう思って立ち上がり、彼女の元に歩み寄った。
「良かったら、座れば?」
そう言うと彼女は振り返り、耳からイヤホンを引き
抜いて
「もうすぐ降りるので、大丈夫です」
そう言っておじぎをした、その表情には今時の薄化粧を
した高校生の様なあどけなさがあった。
そうなんだ、と言って自分の席に戻ろうとすると、
知らないオバサンがここは私の席よと言わんばかりに
席に座っていた。
そして自分が降りる駅に着いた、するとドアのそばの
彼女がこちらを振り向き、会釈をして降りてから
エレベーターへ歩いて行った。
同じ駅なんだ…
それが彼女との初めての出会いだった。