「翔君…!!」
「よう!…っておっと、急に抱きついたりしてどうした …!?」
翔は先ほど春歌に『急いで家に来て欲しい』とのメールを貰い急いで春歌の家へ行き扉を開けた。そこまでは良かったのだ
「な、なんだその格好!?」
「どうしましょう、翔君…私、猫さんになってしまったみたいです…!!」
翔に抱きついた春歌の頭にはピンクの可愛らしい耳が2つついており、腰の方にもピンクの長い尻尾がついていたのだ。
「お、お前!どうしたらそんな格好になったんだよ!?」
「分からないです…でも朝起きて鏡を見たら猫さんになってました…」
「昨日変な食事とかしてねぇだろうな…!?」
「いえ…いたって普通の食事を。
そ、それより翔君、少し落ち着いて下さい」
「あ、あぁ…そうだな」
翔はまだ春歌の猫化に動揺しつつもとりあえずソファーに座った
「はい、どうぞ」
「おう…ありがとな」
春歌は翔に紅茶を出し、翔とは少し離れてソファーに座った
「なんでそんな離れるんだ?もっとこっちこいよ」
「で、ですが…」
「ん?何かあんのか?言わなきゃわかんねーぞ」
「はい…あ、あの…近いと翔君に尻尾が当たって邪魔じゃないかと…」
春歌の尻尾は肩よりも少し下くらいまであり、ゆらゆら揺れている
「あぁ、そんな事か。それなら大丈夫だぜ俺は、その…春歌の近くになるべくいたいから…」
「翔君…では、お隣失礼します」
「おう!」
「それで…昨日何があったか詳しく教えてくれねぇか?」
「はい!昨日…ですよね…あ!新しいお仕事を2つ頂きました!」
「おぉ!それは良かったな!おめでとう!」
そう言って春歌の頭をわしゃわしゃと撫でる
「ふふっ、あとは…あ、四ノ宮さんの手作りクッキーを食べたくらいでしょうか?」
「…な、那月のクッキー!?」
「はい!えっと確かシェフの気まぐれなんとかクッキーだったはずです!」
昨日、春歌はAクラスの3人にお茶会に呼ばれ、そこで那月お手製のクッキーを食べたのだ。
普通の人なら気絶する味を春歌と神宮寺レンだけは普通に食べてしまうのだ
(俺、Aクラスのお茶会の事春歌に聞かされてねぇぞ…)
翔はそう思い少し頬をぷうっと膨らませた。
「翔君…?」
「あ、いや、なんでもねぇ。
というか春歌のソレの原因って100%那月のクッキーだよな…」
「そ、そうなんですか!?でも四ノ宮さんがこの様な事をする人には思えないのですが…」
「まぁな…那月も悪気はないんだろうがあいつの料理には何入ってるか分かんねぇからな…」
「そうなんですね…」
「でも本当にどうすっかなー…
もう1回那月のクッキー食べてとか?」
「いいですね!確かになおるかもしれません!」
「いやいや…よくあんな料理食おうと思うな…もはや料理でもないかもな…」
「ん?翔君、何か言いました?」
「いや、なんでもねぇ、ちょっとどうするか考えてただけだ」
「そうですか、なら良いのですが…」
「あ!そうだ、気分転換にテレビでもつけようぜ!」
「そうですね、良いかもしれません!焦っても何も生まれませんからね」
テレビをつけるとちょうどネコカフェのCMがやっており春歌よりも小さい猫がたくさん映っていた。
(そりゃ小さいのは当然だよな…春歌は人間なんだし)
翔は改めて猫化した春歌を見た。
可愛い猫を見て尻尾をふっている春歌は翔にとってネコカフェの猫よりもダントツで可愛かった
(やべぇ…すげー可愛い…)
「…翔君?どうしま …!!」
「ん…ちゅっ」
「…!?し、翔君…!?」
突然キスをされ春歌は顔を真っ赤にし、尻尾をびーんとたて翔を見た
「へへっ、王子様のキスってやつ?
これでお前の魔法も心も溶かしてやるよ」
「翔君…ありがとうございます」
春歌は照れながらも翔にキスをし返した。
「…!ふっ、ありがとな」
「いえいえ…あ!」
「ん?どうした …!?」
「し、翔君!!」
「!?耳と尻尾が消えてる!?いつの間に!!」
春歌の体には猫の耳も尻尾もついておらず、普通の春歌になっていた。
「翔君のキスのおかげですっ!」
「お、俺の…?」
「はい!王子様のキスが私の猫さんの魔法を解いてくれたんだと思います」
(あれ本当に効いたのか…!?)
「そ、そうか…!本当に良かったな!!じゃあお祝いに…ちゅっ」
「ふふっ、ありがとうございます
やっぱり翔君は本物の王子様ですね」
「俺はニセモノなんかじゃねぇっつーの、永遠にお前だけの王子だぜ」
そう言い笑う翔君は春歌を抱きしめてもう1度キスをした。
END