●地球再生の鍵を握るモノは?
見渡す限りの波だった。
水の壁は情容赦なく、僕カインの方へ襲いかかってくる。その激流の中で、僕の足はもう焼けただれた建物の屋上には届いていなかった。
放射線で焼けただれた町。
それでも僕には長く棲んでいて愛着があった。
その廃墟が海に犯されていくのを、僕はなすすべもなくただ見ているしかなかった。
海、すなわち大洪水たった。波は、伺度となく押し寄せてきて、廃墟を踪順した。
なじみのある暗い町並は、二度と僕の目の前に現われることは、、ないだろう。
服と呼べるだろうか。そのうす汚れた切れっぱしは、僕の体にまとわりつき、かかげて身勤きは緩慢にたってくる。
水は僕の息をとぎれきせ、言うにいわれぬ悲しみは僕の体をしびれさせていった。