清乃

秋に読むべき夏の物語
長編で台詞も描写も多く作者様が選び抜かれたコトバ達を並び立てた作品よりもコトバ少なに、しかも場面を限定した短編こそが光り輝くことがあります。
いくつもの星で出来上がる星座よりも1等星で光り輝く北極星のが見つけやすく目立つ時があります。

自分の作品を短編でいくか、長編でいくか、見極めは非常に重要です。

この作品はそういった意味で見極めに成功した作品といえると思います。
経験者だからこそ書けるであろう情景。
それは例えば「冷凍庫に入れたスイカ」だったりします。主人公の行動からその時の心理が決して穏やかではなく動揺しまくっていたことが窺えます。又は彼へのジレンマから来る対抗心?
「涙のシロップ」という表現もミュージシャンらしい、と言うと作者様がミュージシャンみたいですがそういう直接的な意味ではなくて素直な誉め言葉として受け取っていただけたら幸い。

偶然読んだのが秋だったけれど秋に読んだから余計に泣けました。
この作品全体を包むシットリ感は秋にこそふさわしい。


ちょっとだけオトナの女の子の素直な恋愛模様が描かれています。