まぶたの裏に浮かぶのは、
確かに見覚えのあるシルエット。
じゃあこれは誰?
どこかで見た?
どこかで会った?
なんにもわからない。
なんにも覚えていない。
なんにも思い出せない。
いつもそうだ。
夢から覚めた時、
たった今まで見ていた夢なのに
ほとんどのことを忘れてしまっている。
あぁ、またあの夢を見たんだな、
それくらいしか思い出せない。
でも少しだけ、
目が覚めても覚えていることがある。
それはいつも同じシルエット。
そして、不思議と懐かしく感じる声。
「必ず見つけるから」
それだけが頭の中に残って
いつまでも消えない。
シルエット。