麻井深雪
「間違った孤独」に気づいて
ついに迫った忍ぶさんとの別れの期限。
それに向って物語はぐっと切ない流れで進みます。
そんな中でお兄ちゃんと、その恋人奈津子さんとの和解。
いつも傍にいて助けてくれる親友と幼馴染の存在。
悲しみと切なさの中で周りの優しい人達に支えられるアキに気持ちが温かくなりました。
何よりもアキが自分が感じていたのが「間違った孤独」だと悟ったところ。
ハッとさせられました。
独りじゃないのに、周りには優しい人達で溢れているのに。
それでも孤独を感じている人、現実にもたくさんいるんじゃないでしょうか。
そういう人達への著者さまからの温かいメッセージを感じました。
そしてそれを知ったアキが忍さんの「間違った孤独」を正して癒していく。
誰よりも弱いのは忍さんだったこと。
それに気づいて今までとは逆にアキが忍さんを大きく包みこむところ。
アキの成長に感動しました。
単なる恋愛だけじゃなく、優しさが溢れた素敵なお話でした。
読み終えた後、独特の温かさを味わえます。
前後編とありますが、物語のテンポも良く長さを感じさせません。
ぜひご一読を。