吉川夢香は中学三年生。若葉が萌える季節、東京から、この街に彼が転校して来た。一風変わった処じゃない彼に全員注目。早速悪ガキ軍団、不良グループに目を付けられる。

それは、若葉が香る5月の事だった。吉川夢香は中学三年生。名前の通り未来に夢する普通の女の子。普通の中学生だ。やっとこないだ15歳になったところ、そんな、ある日、一人の転校生が入ってきた。田舎町ゆえ、前情報は入っていたけど彼を目にするのは、初めてだった。「ねえ、夢香!今度、新しい転校生が,やって来るの知ってる?」そう友達の麻紀から聞いたのは昨日の事だった。「へーえー、どんな人っぽいの?」「うーん・・よく分からないけど何でも上の三隅さんのお孫さんだって、お母さん言ってたよ。」「ふーん、そうなんだ。」夢香の住む町は山と海に囲まれた細長い市で小高い丘の上まで家が建っている。そして上に行くほど大きなお家が多くて、お金持ちが多い。三隅さんは前の市長さんという、おじいさんで、おばあさんの奥さんと2人で大きな家に住んでいる。そんな実家を持つ、お母さんが、お父さんの仕事の関係で家族全員引っ越してきたらしいと麻紀は言った。どんな人なんだろう?夢香は少しわくわくしながら今日は登校して来た。朝のホームルーム。少し眠い目を、こすりながら夢香は先生に付き添われながら教室に入ってきた彼を見た。背が高くてやせ過ぎ、髪の毛長くてボサボサ、半分、目の上までかかっている。少しテンパー(天然パーマ)がかかっているみたいで、とにかく、モシャ、モシャしている。両手をズボンのポケットにつっこんで、あまり真面目な態度とは言えない。「君、ポケットから手を出しなさい。」先生が小さく言うのを夢香は聞いた。「えー、今日からみんなと一緒に、新しくこのクラスに入った安藤君だ。みんな仲良くしてやってくれ。」担任の

前田先生はそう言って紹介した。「さあ、安藤君、みんなに挨拶をしなさい。」そう先生は促すが安藤君は片手をポケットから出しただけでただうつむいて何にも言わない。「さあ、安藤君、しっかり自己紹介して。」と先生がチヨークを渡すと面倒くさそうに、安藤剛次と黒板に書き片手をポケットから出すことなく、少し頭を下げた。「安藤君は少し照れ屋なのかもしれないけど、みんな声をかけて仲良くしてやってくれ。」「そうだ窓際の後ろの席が空いているから、そこに座りなさい。」男子学級代表の山下優人の隣に先生は安藤を座らせた。そういう安藤を、ずーっと,ガン見していた生徒がいた。同じく最後列の廊下側に座っている世羅光一だった。学校一の不良で通っている。何かやばい事が起きそうだと夢香は密かに思った。