関東全域を支配する暴走族、夢幻。
彼らが見つけたのは、酷く美しい女だった。
謎に包まれた彼女は、不思議なほどに大人びていて、容易にはヒトを近づけさせない……。

……獣の群れに、捕まった。



別に、何をしたわけでもない。

ただ、自分が思ったように、自由に生きていた。



愛を受けないのは、自由に生きる代償。

辛い過去を背負うのは、重い罪の代償。




……嗚呼、それなのに。




彼らは私を縛りつけた。


美しい瞳が、私を捕らえた。



彼らには、もう、彼女がいたのに。

守るべき人が、愛らしい彼女が、存在していたのに。



それなのに、なぜ、私をそばに置こうとする?

なぜ、私は彼らのそばにいようとする?




……何もかも、わからない。




背負った闇は、暗く濁っている。

まるで、何もかもを突き放すように。



漆黒の瞳が、哀しげに揺れる。

酷く切なく、儚げに。




でも、いつか、もしかしたら。

……光が差し込むことを、望んでいる。






残酷な運命に、涙した。