ある世界の人々に伝わる「英雄が滅びの危機から人々を救う」という物語。真実か空想かわからないが、滅びの危機が現実に迫った時、人々は英雄を求めた。その結果…。

この世界に暮らす人々に伝わる有名な物語がある。

それが真実なのか定かではないがはるか昔、人々に滅び危機が訪れたことがあったのだという。

そして人々を滅びの危機から救ったという4人の英雄がいたそうだ。

英雄達の逸話も沢山残っているが、彼らのが英雄となったのは一人の魔導士の導きによるものだったらしい。


魔導士の導きにより英雄となった4人。

英雄達によって滅びの危機は去り、平和が訪れたという物語はこの世界に暮らす人々に様々な解釈や印象を今もなお残し続けている。


もし-。


もし、今そこに生きる人々の現実として再び滅びの危機が訪れたとしたら。


どんな思いを抱いていても人々はきっとその物語にあるような英雄を求めるだろう。


だが。


忘れてはいけない。


その物語が過去に起きた真実だったとしても、あるいはただの逸話としても。


人々はその時世界に起きたすべてを知るわけではないということを。


物語とは語られることだけがすべてだから。

語らることなく消し去られたことや隠されたことがあったとしても物語に存在しない以上、読み手には知るすべがないのは当然であり、必然。


だから容易にそして安直に、人々は自分達を救ってくれる英雄という存在を求める。


求め、そしてきっと思い知るのだろう。


全てを知らないまま求めた結果が何を招くのかを。