深海の音

作者有希

半年前にやってきた転校生は、どこか私と似ている気がした。私と似た世界の中で、君は一体何を思っているのだろう。――とか言ってみたり。


深海――海面から約二百メートル下の海のこと。



ほとんど光が差さないほど暗く冷たい世界。

宇宙よりも研究が進んでいないといわれる未知の領域。


これだけ聞けばなんておどろおどろしいのだろう。知りたいと好奇心を出してしまえば最後。静かなる未知はその心に襲い掛かるにちがいない。




彼は、きっとそんな存在だ。

半端な気持ちで足を突っ込んではいけない。好奇心で近づけば後悔する。



暗く冷たいその世界で君は一体何を思っているのか。

君のその心を知りたい。

その声をどうか聞かせてほしい。





……なんてことは面倒だから、






深 海 の 音



とりあえずそこに行きたい、みたいな。