芦菓 -Asika-

現実味あり、
上巻、下巻、読破ました。本当にリアルであっという間に引き込まれてしまいます。

2コ上の姉をただ純粋に愛し続ける主人公は20歳の誕生日に、姉と血が繋がっていないことを聞かされ、想いを告げるべく姉の通う大学への編入を決意する。読んでいて主人公の一途さにはかなり泣かされました。

姉弟設定は有り触れていますが、この小説には他のどれとも比べらない現実味があると思います。互いに想い合いながらもすれ違う二人の関係が切ないです。
下巻では、姉莉子さんの妊娠発覚。ここで主人公恭平くんとハッピーエンドになればどれだけよかったか……。しかし、現実はあまくないなと実感しました。

ただ、文章中度々使われていた“其れ”個人的には読みづらさを感じました。(私だけかもしれませんが)内容に於きましては、最後の結末が衝撃的だったわりに、なんだかあっさりと流されたような気がして、それまでが深みがあり面白かっただけに少々戸惑ってしまいましした。

エピローグで、描かれていた晶さんと恭平の娘と莉子さんとジンくんの息子が、二人の思い描いた未来を形にしてくれるといいなと思います。