霧桐朔耶

禁断の愛の結末
兄弟愛という禁断の愛の結末がこれ以上ないくらいに切なく描かれていて、胸が締め付けられる様な作品でした。

6ページというとても短い中で、翼の心理描写が繊細に、かつ丁寧に描かれていて、情景描写1つとっても何処か切なく感じさせられました。

幼い頃はこうだった、小さい頃こうしていた、という思い出と今現在その場がどうなっているか、と比べる事によって、過去と現在での2人の関係の変化も連想させられました。とても綺麗な文章で、一文一文読み応えがあり、大事に大事に読ませて頂きました。

最後、翼は歩美の元へ行く事が出来たのか。邪魔が入って上手くいかなかったのか。はたまた、思い留まってしまったのか。ハッキリと明記されていない分色々な行く末が考えられ、それを想像することでまた楽しませて頂きました。

重たく、どうしてもこういうテーマは暗くなりがちなのですが、この作品の色を表すなら、限りなく透明に近い『白』で、此処まで透き通った作品である事に驚きました。

とても読み応えのある、素晴らしい作品でした。次回作も期待しています。