to-ya

別離であり訣別であった『さよなら』
『さよなら』

この四文字に潜む様々な想いが、作中二人のやり取りを通し浮き上がって来る。
電話を寄越した『優』対応する『知美』

『優』への想いを絡め、『知美』の深い葛藤が短いフレーズから切ない程に伝わって来る。

知美から恋人を奪った優という存在。それも、優本人が知美の愛した男性であったという悲劇的現実。否定、拒絶の懊悩を繰り返し、しかし現実を享受出来た知美は非常にいい女だ。

そして、マイノリティーで在ることを公表して『女性』としての未来を選択した優太も、その決断に至る迄の苦悩と知美への罪悪感との闘争を思えばやはり応援したい気持ちに成る。

恋人としての『さよなら』
知美の葛藤への『さよなら』
優の性別からの『さよなら』

『わたし』と言えた優に
『これからはガールズトークだね』と告げる知美。

『さよなら』
の四文字に込められた幾多の想いは、その先に限りない程の優しさ、癒し、赦し、許容、そして希望を感じさせてくれる。



切ない程に愛しい二人の、今後築かれ行く『友愛』はきっと強固で深いものだと信じたい。