アオイ

情景描写が綺麗で丁寧。人物全てに個性があって面白い、本格的なファンタジー小説。
更新分(332ページ)までの感想になります。

異端の黒と呼ばれているスイと、聖者の白と崇められるテス。二人が出会うところから物語は始まる。今出来ることをしようと動くスイの周りで、次々と予想外の出来事が起こります。

スイの内面はとても繊細。こういう人は実際身近にいそうだなと感じる性格の持ち主で、時折共感しながら読んでいました。

非の打ち所がない情景描写。戦闘シーンや魔物の外見、実在しないファンタジー世界独特の建物や国の雰囲気など、丁寧に分かりやすく描かれているので、想像を膨らませることができました。

スイがシンに抱く劣等感と安心感、どうしようもできないクレアへの想いは悲しいものがあり、この先スイの運命はどうなるのだろうと気になって仕方ありません。

裏表のなさそうな良い人代表のようなシンが、不穏な動きを見せていて心配です。スイの知らない場所で様々な人物が動いているという恐怖感がジワジワ伝わってきて……結末が気になります。登場人物の個性が確立されているのも良く、面白かったです。

これからも続きを楽しみに読ませて頂きます。