久遠マリ
この上なく優しい童話
もし自分に子供がいたら、是非とも寝る前なんかに読み聞かせてやりたい童話。人の優しさを呼び起こし、あたたかな気持ちにさせてくれる物語です。
特筆すべきはカイ皇子の優しさ、慈愛。この物語の核でもあるそれを常に心に持つことは非常に難しい。それだけに、作中の他国の人々とは違った彼の意志は、此方までしっかりと伝わってきます。
その優しさが報われるラストも素敵でした。私的にはバッドエンドも文学としてアリだとは思いました(どっちにしろ皇子は竜が助かったからそれでよかったと思ってるかもしれませんし)が、やっぱり幸せな方が気持ちいいですね。後味すっきり。
また、あくまでも夢のある童話らしく、国政云々を殆ど描写していないのがよかったです。
いい夢が見られそう、良質な作品。
触れてみて下さい。