作品コメント
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- まさーき
欧州の昔話みたいな、お伽話
竜に荒らされた異国へと、誠実で心優しい王子が向かいます。
竜を倒すためではなく、寂しげなその竜を救うため。
その竜の正体とは……。
古き良き時代のファンタジー。バレバレな展開ですが、そこは王道なので仕方ないですね。むしろ真っすぐで好感が持てました。
ヨーロッパに伝わる昔話みたいな印象のお伽話。
おすすめです。 - 久遠マリ
この上なく優しい童話
もし自分に子供がいたら、是非とも寝る前なんかに読み聞かせてやりたい童話。人の優しさを呼び起こし、あたたかな気持ちにさせてくれる物語です。
特筆すべきはカイ皇子の優しさ、慈愛。この物語の核でもあるそれを常に心に持つことは非常に難しい。それだけに、作中の他国の人々とは違った彼の意志は、此方までしっかりと伝わってきます。
その優しさが報われるラストも素敵でした。私的にはバッドエンドも文学としてアリだとは思いました(どっちにしろ皇子は竜が助かったからそれでよかったと思ってるかもしれませんし)が、やっぱり幸せな方が気持ちいいですね。後味すっきり。
また、あくまでも夢のある童話らしく、国政云々を殆ど描写していないのがよかったです。
いい夢が見られそう、良質な作品。
触れてみて下さい。 - mimiko
白銀の雫が美しく舞うファンタジー
こんな綺麗な物語を読んだことがあるでしょうか。
ページを捲るたびにキラキラとした淡い雫が、手元にこぼれ落ちてくる作品です。
そこはかつて美しい姫が住んだ国。
そして今は竜が住まい、姫君を捕えていると噂される国ラヴィア。
セラフィス皇国のカイ皇子は、この竜を救うために旅立ちます。
ここまでが白銀。
光織りなす空の紡ぎ手が、夜空から戯れにこぼした月の欠片を読んでいる気分になりました。
そしてやさしい夜。
暗いけれど、けっして暗闇ではない、人(心)の息づく密やかな夜の表現では、人間を感じさせます。
それからいよいよクライマックス。光です。水晶の光。
水晶の光は、ただただ透明で、触れていなければ、すぐにその姿を見失ってしまいそうな透き通ったものですが、芯が通っています。ドラマチックなクライマックスです。
この流れは、まるでクラッシックです。
一連の物語を美しい光で表現したクラッシックファンタジーの世界。
おすすめです。