雪野

うるおいの花
土壌の栄養分をめいっぱいに吸い上
げて、きれいな花を咲かせる紫陽
花。
実はその花だと思っている部分はが
くで、本当の花はその中で、ちょっ
ぴり地味。
だけど紫陽花の色は、遺伝的要素で
はなく、紫陽花が根を張る土壌が関
係している。

紫陽花の話ばかりしてしまいました
ね、本題に入りましょう。

人物描写が丁寧で、彼らが
何を思っているのかがよく伝わって
きます。
彼女は本当は綺麗な花だけど、自分
に自信が持てずにいて、女子校育ち
のせいか男の子も苦手。まるで派手
ながくの内に身を隠す紫陽花のよう
ではありませんか。

彼女が自分を綺麗な花だと自覚して
いるならば、このお話のタイトルは
水曜日の薔薇だったかもしれませ
ん。あるいは向日葵だったかも。

だけど違うのです。ちょっぴり臆病
で不器用な、紫陽花です。
等身大の女の子が、これでもかと丁
寧に描かれています。

読後感はまさに紫陽花というべきで
しょう。めいっぱいに優しくて、潤
いを与えてくれます。

最後に作者様、今後もご活躍をお祈
りしております。