麻井深雪
切なさを残したハッピーエンド
愛を知らないまま、ヤクザの若頭のテツヤに囲われることとなった元キャバ嬢の春姫。
けれどその中で舎弟のケイとお互いの立場を知らずに出会い、魅かれあってしまう――。
上下関係が絶対の任侠の世界で、許されない二人が愛し合う禁断の愛の世界が切なく描かれています。
テツヤの目を盗んで愛をはぐくむ二人にドキドキし、いつ周りに気づかれるんじゃないかとハラハラしながら物語に引き込まれていきました。
そんな中、春姫のお目付け役の一人である女嫌いのリクトもまた、春姫を愛してしまう。
複雑に絡み合う愛の中でも、ただ一途にケイを愛する春姫がひたすら切ないです。
試練を乗り越えた二人ですが、そこは任侠の世界。
負傷した若頭の為にケイやリクトは抗争に出ていくことを余儀なくされます。
ヤクザの世界ならではの展開に、胸が痛くなりつつも緊張感に胸がドキドキしました。
ラストは悲しい感動も含みつつ、ハッピーエンドで良かったですが、それでもリクトやテツヤのことを思うと胸が痛み、切なさが広がりました。
禁断の愛に悶えたい人におすすめです。