ボロアパート、『たじかわ荘』。
そこに住む生きた堕落『安西 蒼真』と、
その隣人『藤堂 湊』。
嫌いだ。見透かしたような文章を書くあの男が。
隠れた天才は俺を見透かして、目の奥を見つめてきた。
誰も入ってくるな。愛なんていらない。
愛なんて、ただの暴力と一緒で、痛くて、恐くて、醜くて。
だから怖かった。
人生なんてどうでもいいと思っていた俺が、いつの間にか、欲しいものを手に入れられそうになっていたから。
ほしいものが、できてしまったから。
いらないはずなのに。嫌いなはずなのに。
心の底から欲しくて、ぐちゃぐちゃにしたくて、知りたくて仕方ない。
堕落した俺を、愛してください。