眠空
言葉遊びとミステリーの微笑ましい融合。
綿密にして可愛らしい仕掛けとそれを短編ミステリーとして糸で繋ぎ合わせて仕上げる作業は、よほどの筆力と閃きが必要だったと思われます。
かと言って仕掛け一辺倒というわけでもなく、構成や人間模様もきちんと描かれていました。
個人的な感想を言わせて頂くなら、水夏の台詞回しや行動に現実離れした違和感を感じたのと(あの“個性”がないと成り立たないとはいえ)、ストーリー運びに若干の回りくどさは感じました。
ですが、丁寧に糸を手繰るように真相に近づいていく緩やかな流れはゆったりとした気持ちにさせられ、水夏のお母さんの存在にも暖かみを感じました。
上地ファミリーは素敵ですね(^^)
戦慄のミステリーというより、微笑ましい種明かしが楽しめる優しいミステリー。何より、言葉遊びの面白さに改めて気付かされます。
是非、最初から最後まで(あとがきも含めて)読んでもらいたい作品です。