夏生めのう

素敵
言葉に対して相当の”愛””想い”が無いとここ迄の作品は書けないと思いました。
ミステリーとしても最高で、最初モヤモヤ…というかもじゃもじゃッと頭の中がするのですが、それが少しずつサラサラと解きほぐされるあの醍醐味〜…
感覚は堪りません。

新幹線独特の『圧』ーーー
体感する時間の塊と実際体験している時速の〜心との微妙な乖離。
ジリジリする気分の表現。

ラッピングと書かず包装紙と言う表現で『薄いが固い物』〜『特別』を匂わす技量。
そこに表されるハッと鮮やかな色。

所々差し込まれる輝く瑞々しい色彩と音。
堅いくるみの塊から連想される乾いた殻のカラカラッと耳に優しい響き。
音を直接書かなくっても読み手には確かに密やかに甘やかに聞こえるんですよね。
これは多分主人公が優しい心で愛する人を回想しているから……!
この辺りの仕掛けーーー繊細な感覚が凄い!

…鐘の音が響く、しっとり甘やかな季節感、何もかもが叙情的で美しい。

皆に読んで貰いたい上質なミステリーです。

因みに回文とは違いますが、私のPNも”セット物”です。
敢えてそうしました。