この唇を解放して、【完】

作者蒼晴

目の前の彼女の全てを僕は”知らない”。同時に、彼女は僕のことを”知らない”のだ。
愛を感じたい、伝えたいと思う感情を彼女に届けたい。
短編小説です。







触れた先から、僕の想いが伝わればいいのに。





何も”知らない”目で、僕を写す。










僕はその目を見つめ返し、こんな彼女を”知らない”という言葉を喉の奥で留めるのだ。













「この唇を解放して、」