小泉秋歩
夢幻の森の、その奥に…
ここではないどこかの世界の物語。
濃い霧に包まれた森の奥に、『夢幻荘』と呼ばれる家が建っている。
そこには少女・杏と、リーダーと呼ばれる謎の男が住んでいる。
しかし夜になると、この家の中には『闇の住人』と呼ばれる異形の生き物達で溢れかえるのだ。
そして杏もリーダーも、人間ではない。
この危険な深い森の中で、闇の住人達の「エサ」に過ぎない人間が生存できるはずがない。
しかしある日、なぜか森の中に、人間の少年・陸が倒れていたのだ――
幻想的な、本格長編ファンタジー。
鷹という男を探して「この世界」にやってきた陸と、ヒトならざる存在達との出会いが、「この世界」自体の運命を少しずつ変えていく物語。
的確な描写で紡がれる幻想的な光景が、華麗な映像のように展開し、読者を惹きつけます。
杏が叩くタンバリンの音ととともに闇の住人が目覚めるシーンや、謎のインコ・空(クウ)が巨大化して空を飛ぶシーンなど、見所は充分。
現在は更新停止中のようですが、ゆっくり先を待っていたい、そんな作品です。