黒木詩集 夏の日の夢

作者黒木


     夏に死んだ少年を思い出していた


彼が眠る静かな海で誰かが朝に歩きはじめ

わたしは約束された時間にめをさまし

追いかけてはまた眠る

波は天使の翼を砂に埋めて、食いつくされた春を思う そちらは晴れですか こちらは雲が目立ちます 雨のにおい

赤く染まった少年の手が異国の歌を指揮していた

それは夏の日の夢なのかもしれない