紅天女~その華、神の愛娘により~

作者天音川仁戲



「紅天女」


それは一種の呪いだと私は思う


合わせ鏡の中で自分を見る


真紅に染まる、人為らざる目の色

一体何を見る――?




太古の昔から伝わる「紅天女」の任。


そのため任を負う少女達は

100年ものの間は

歳を取ることはない。


100年間、歳を取らず

若々しく生きる


美しい少女達。


しかし、その代わりに

イザナミノミコトより

生まれし妖達を100年もの間


退治し続けるという

過酷な任だった。


そしてその過酷な100年を

生き続けるために


少女達は人間のもっとも

原始的な欲求である


「睡眠欲」


「食欲」


そして


「性欲」


この三つの内一つの欲を

対価として奪われるのである。


この物語は



欲を捨て

人間を捨て

己を捨てて


永久に続く戦いに

己の身を投げた少女達の


美しくも見えざる狂気が

渦巻く御噺